美輪子は皮膚が弱く、きついブラジャーやレースの下着にかぶれやすいので、いつもブラジャーはつけていない。乳首が服の上にポツリと浮き出ないように、専用の丸いテープを貼ってノーブラでいるのだ。
今日も薄いピンクのサマーニットの下は、すぐ乳房だ。大きく張りのある美輪子の乳房は、ノーブラでもぴんとしている。バスの振動は美輪子の乳房を小刻みに振るわせている。ややきつめのニットに大きな乳房がピチピチに収まっており、乳房がニットをずりあげているせいで、へそが見えていた。
男は、そんな美輪子の胸元を先ほどからじっと見ているのだった。
美輪子は男の視線に嫌悪を感じなかった。それどころか、この男に抱かれたらどうなるだろうかという妄想まで膨らませていた。美輪子は、自分の体に興味を示している真っ直ぐな男の視線が好ましく思えたのだ。
美輪子は男の引き締まった体をまじまじと見た。男の胸の筋肉が分厚いことは、Tシャツの上からでもハッキリとわかった。男の細い切れ長の目が真っ直ぐで、美輪子は少し怖く感じた。
美輪子は男に話しかけた。
「どこまで行くの?」
「猿河神社です」
「私はあけぼの総合病院まで。でも神社なんて何しに?」
「結婚式があるんです」
「誰の? 親戚とか?」
男は答えなかった。
男はTシャツにジーンズ姿。とても結婚式に参列するような姿には見えなかった。
美輪子の仕事はストリッパーだ。高級ホテルのスイートルームで定期的に開かれている会員制の秘密のパーティで踊るのだ。会員の紹介とオーナーの厳しい審査に通った人しか入れないため、客は地元の名士、企業の経営者など金も地位もある人々だ。
だから、美輪子が危険な目にあうことはない。報酬もよいので、美輪子はストリッパーの仕事が決して嫌ではなかった。
バスの振動はますます激しくなり、美輪子の下半身の感じやすい突起を容赦なく襲う。美輪子は興奮し、思わず声を出しそうになっていた。
