『夫のちんぽが入らない』(講談社文庫)を読みました。著者のこだまさんの実体験にもとづいた物語です。ネタバレにならない程度にこの本の感想を書いていきたいと思います。
他の人のは入るけど、夫のだけが入らない
こだまさんとご主人は、同じアパートの住人として知り合いました。大学の先輩と後輩。すぐに恋に落ちて、交際することに。そして、お互いの身体を求めるようになり、エッチをすることになったのですが、どうしてもチンポが膣に入らないのです。何度トライしてもだめでした。
本を読み進めていくうちに、お互いに他の人とは普通にセックスができるのに、二人ではどうしてもできないことがわかります。
私がこの本を読む前に、一番疑問だったのは、「なぜ入らないのか」ということでした。そのことについては、あまり詳しくは書いてありません。ただ、とにかく入らないのです。
私にも経験がある
これまで私が付き合った男性の中で、入らないほどではないけれど、入れるととても痛かった人がいます。正直に言えば、その人がものすごい巨根だったわけではありません。でも痛いのです。おそらく、セックスの相性がとてもよくなかったのだと思います。優しくてとてもいい人でしたが、私はお別れする道を選びました。病院に行き、お医者さんにも相談した結果です。
それでも二人は結婚した
何年も付き合って、その間ずっとちんぽが入らず、普通にセックスができないとしたら、たいていの人は別れを考えるのではないでしょうか。しかし、こだまさんたちは結婚したのです。精神的な絆を深め、大好きな人と一生過ごすことを決めました。
「兄弟のように、植物のようにひっそりと生きていく」ことを選んだのです。
いつか入るかも……という切なる願い
植物のように生きていくと決めた二人だが、いつかちんぽが入るかもしれないという希望はなかなか捨てられなかったのです。
ローションを使ったりしながら、結婚後もしばしばトライし続けるのですが、そのたびに流血の大惨事に。痛くて、苦しくて、切ない。愛する人を性的に満たすことができない、自分も満たされないということは、どれほど悲しく辛いことでしょうか。
ちんぽが入らなくても
ちんぽが入る夫婦でも、セックスレスになることはあります。また、どんなに仲良しの夫婦でも、セックスが永遠にできるかというと、加齢によりできなくなったり、する気がもう起きないこともあるでしょう。
そういう問題と一緒にしてはいけないけど、こだまさん夫婦のように、精神的なつながりを大事していく生き方もあるのですね。
簡単には語れない問題。しかし、身体の痛みだけでなく、心の痛みをたくさん味わったこだまさん夫婦にしか作ることができない、強い絆の重みや、眩い美しさをひしひしと感じました。